ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 133

☆ ハッピーダイヤモンド☆

2007.01.16号  


1779年、ワイマール共和国の宮廷顧問を務めていたゲーテが、スイスの山あいにあるジュラ地方を訪れたとき「人々は洗練され、品行方正、そして勤勉で、活発かつ裕福であった」と驚嘆の言葉を書き残している。この地で1860年にルイ・ユリス・ショパールが時計工房を開き、自社で一貫生産することで知られるようになった。時を刻む正確さは評判を呼び、スイス鉄道にも採用された。超極薄型で超精密なゴールドのポケット・ウォッチは大きな名声を得るようになった。1920年には創業者の孫にあたるポール・アンドレ・ショパールが、本社をジュネーブへ移し、市場を世界各国へ広げることに成功した。
20年代には現在のように、ジュエリーウォッチの分野でも成功を収めるようになった。
63年にはドイツの宝飾時計メーカー「エスツェハ」を経営するカール・ショイフレが工房を買収し、新生「ショパール」として栄華を極めていく。75年には本社工場をジュネーブ郊外のメイランに新たに建設した。76年にはカールの娘であるキャロラインが、土台となる貴金属に固定されずに動く「ムービングダイヤ」をデザインした。このユニークなデザインはショパールの評価を高め、世界的な高級宝石ブランドとしての地位を不動にした。
日本での知名度は「ハリー・ウィンストン」(既号100 キング・オブ・ダイヤモンド)や「デビアス」に比べると、少し劣るようだが、スイスの高級時計ブランドとしてスタートし、ドイツの宝飾細工が融合した世界最高級の時計・宝飾ブランドである。

機械式時計メーカーであるショパールは、創業者であるL.U.C(ルイ・ユリス・ショパール)の時計造りへ、原点回帰を果たそうとしている。
96年に自社開発したキャリバー「L.U.C96」を発表した。時計の手工芸的技巧を保証する公式認定「ジュネーブシール」と、スイス公式クロノメーター検定局認定「C,O,S,C」も同時に取得した最高峰のコレクションである。
05年にはスイスメーカー3社で共同設立した「フルリエ・クォリティ財団」による高級時計品質保証認定を取得したモデル「カリテ・フルリエ」を発表し、自社で一貫生産された最高級の時計として、確固たるプレステージを築き上げた。
ショパールは企業理念でもある社会面での活動も積極的に実践している。88年からは北イタリアを1600匆C任垢襯凜ンテージ・カー・レース「ミッレミリア」の公式スポンサーを務めている。このレースは27年から開催され、アルファ・ロメオ、フィアット、ベントレー、ルノー、メルセデス・ベンツ、アストンマーチンなどの錚々たる自動車メーカーが参加し、特に第二次世界大戦前にはムッソリーニ率いるファシストや、ヒトラー率いるナチスなどが国威発揚のために、国を挙げて自国メーカーを支援した。その後は戦争などで何度か中断されたあと、77年に20年ぶりで復活し、元F1ドライバーなどが多数参加し、お祭り的なレースとして毎年5月に開催されている。
ショパールが開催のたびに参加者に寄贈する同名の腕時計は、コレクターズアイテムとして、時計マニアにとどまらず、自動車マニアにも大人気である。カール会長は、このレースの出場経験もあり、レース名を冠したコレクションを次々と発表するなど、社会への還元にも務めている。

ヴェネチア国際映画祭やベルリン国際映画祭と並び、世界三大映画祭と称されるカンヌ国際映画祭は、フランス政府が46年に開催して以来、ほぼ毎年5月にフランス南部にある都市、カンヌで開かれている世界最大規模の映画祭である。
30年代後半ファシスト政府の介入を受けて、次第に政治色を強めたヴェネチア国際映画祭に対抗するため、フランス政府の援助を受けて開催されることになった。39年から開催の予定であったが、第二次世界大戦勃発のために中止となり、戦後の46年から正式に開催されている。毎年、世界各国から数多くのスターや、映画関係者が出席するため、世界中のマスメディアから注目を集めている。
開催当初は最高賞を「グランプリ」としていたが、55年にトロフィーの形にちなんだ「パルム・ドール」を正式名称とし、グランプリとも呼ばれることとした。
65年に最高賞の名称をグランプリに戻したが、75年に再びパルム・ドールとしている。
長らくはカンヌにおいてもグランプリとは、最高賞の正式名称もしくは、パルム・ドールの別名であった。90年に審査員特別賞にあたる賞に、グランプリの名称が与えられることになり、再三にわたる呼称変更が混乱を招いている。
審査員は著名な映画人や文化人によって構成されている。過去の日本人受賞者を拾ってみると、54年の第7回には衣笠貞之助監督の「地獄門」がグランプリ、60年の第13回に市川昆監督の「鍵」、63年の第16回に「切腹」、65年の第18回に「怪談」で小林正樹監督が二度、64年の第17回「砂の女」で勅使河原宏監督が審査員特別賞を受賞している。
80年の第33回に黒沢明監督の「影武者」、83年の第36回に今村昌平監督が「楢山節考」ではパルム・ドールを受賞している。
ショパールは98年からカンヌ国際映画祭の、オフィシャル・スポンサーとなっている。
授賞式でレッド・カーペットを、ゆっくりと歩く女優達の胸元には、ショパールのハイジュエリーが輝いている。最優秀作品に与えられるパルム・ドールのトロフィーもショパールによる作品であり、映画祭の華やかさはショパールによって演出されている。
ちなみに今月7日にエントリーが締め切られた、日本アカデミー賞の授賞式で副賞として贈られる置き時計や腕時計は、ショパール日本総代理店である一新時計から提供される。

ショパールの日本における総代理店は、東京中央区八重洲に本社を置く、一新時計である。76年に正規代理店の権利を取得し、三越日本橋本店など3店で取扱が始まった。ムービングダイヤをあしらった「ハッピーダイヤモンド」シリーズが人気を集め、30才から
50才代の女性富裕層を中心に顧客層を拡大している。
06年の世界時計博「バーゼルワールド2006」では、革新的な「L.U.Cトゥールビヨン スティールウイング」を発表した。
“飛翔する美しい鳥の翼”をイメージしたという、L.U.Cトゥールビヨン スティールウイングの仕様を紹介してみよう。『ムーブメントL.U.C=4重手巻きゼンマイ。振動数=28.800/h、33石。パワーリザーブ=最大216時間。特徴=C.O.S.C認証クロノメーター、ブリッジに「コート・ド・ジュネーブ」の刻印。防水性能=30叩ケース素材=18Kホワイトゴールド。サイズ=直径40.5、厚さ10.9弌I防=サファイアクリスタル。ストラップ=クロコダイル。価格=15.960.000円』06年秋に世界限定100本が販売された。




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