ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 148

☆ 紳士服のトップブランド☆

2007.05.01号  


1923年、ドイツ・シュッツガルト郊外のメッツィンゲンで、ヒューゴ・ボス(Hugo Boss)
が紳士服メーカーを設立した。設立当初はオーバーオールやユニホームなどの、作業服のブランドとしてスタートした。60年代初頭に「BOSS」ブランドを発表してからは、ファッション感覚に優れ、着心地が良いことも受けて、一流ブランドに成長した。
72年以降は国際的にマーケットを拡大し、ヨーロッパのみならず世界的なメンズ・ファッションとして、現在は世界102ヶ国で販売されている。一説によると世界のスーツの六分の一、ロシアに至っては2着に1着は、ヒューゴ・ボスのスーツと云われる。
顧客の主要ターゲットは、男性の30歳代をメインに据え、中核ブランドである「BOSS ヒューゴ ボス」と、より前衛的な位置づけとした「HUGO ヒューゴ ボス」のツー・ブランドで構成されていた。93年には「ヒューゴ バルデサリーニ」を加え、幅広い顧客層を対象としたファッションを充実させた。
80年代になるとフレグランス、アイウェアー、シューズ、ボディウエアーなど、幅広く展開し、これらの製品を対象にライセンス付与を開始した。94年にはアンダーウェアーの生産も開始し、メンズ・ファッションのすべてのアイテムをフォローするようになった。

定番のブラック・スーツは「成功を収めたビジネスマンの、モダンで都会的イメージを醸し出している」と評価され、派手に流行を追うよりも、ドイツらしい伝統的なシルエットが特徴で、一着持っていれば長く着ることができるスーツとして定着している。
ヒューゴ・ボスのスーツの、さまざまな年齢層にあわせた3つのコア・ブランドは「成功志向が強く、ダイナミックな個性と、典型的な男らしさ」をイメージするブランドとされており、紳士服のトップ・ブランドとしての地位を勝ち得ている。94年にはレディス・ウェアーも発表して女性ファンも獲得し、さらなる業容拡大をはかっている。
現在のラインは主流のボスが、メンズのブラック、オレンジ、グリーンの3レーベルと、レディスのブラックレーベル。カジュアルに少し近づけたヒューゴのメンズとレディス、バルデサリーニはメンズだけを展開している。
著名人の顧客も多く、ハリソン・フォード、ショーン・コネリー、ロバート・デニーロ、ダスティ・ホフマン、アントニオ・バンデラス、デニス・ホッパーなどが愛用している。
イメージ戦略として、芸術や各種スポーツのスポンサーとして、一段の知名度アップに注力しており、テニス、ゴルフ、サッカーなどの国際大会にも数多く協賛している。ことのほか熱心なのが、男性が憧れるモーター・スポーツで、有名なのはアイルトン・セナのヘルメットに「BOSS」のマークが付けられていたように、F1マクラーレンチームのスポンサーにもなっている。

26日、浦和レッズはヒューゴ・ボス・ジャパンと、オフィシャル・パートナー契約を締結したと発表した。この契約により浦和レッズは、今シーズンから2年間、公式イベントや遠征時において、ヒューゴ・ボスのスーツを着用する。チームスタッフや選手には、ヒューゴ・ボスがデザインし、コーディネートされたボス ブラック・スーツ、シャツ、ネクタイのセットを2着と夏の移動用スーツ1着、それにベルトや靴などが毎年支給される。
この発表に先立って前日の5日に、さいたま市内のホテルにて開催された「2007浦和レッズ感謝の会」では、チームスタッフと選手全員がスーツを着用し、お披露目が行われた。
また、この契約で双方が積極的に社会貢献活動に、取り組むことも確認されている。3
28日には共同のチャリティイベントをヒューゴ・ボスの東京・青山の本社で開催された。
ヒューゴ・ボスのスーツを着用した岡野雅行選手ら、選手7名と監督、コーチ、それにヒューゴ・ボスの顧客、レッズ・サポーター150名が参加して行われた。
ヒューゴ・ボスはグローバルなフィールドで、ビジネスを展開している有名ブランドとして知られているが、サッカー界ではFCバイエルン・ミュンヘン、チェルシーFCなどにスーツを提供しており、そのポートフォリオに浦和レッズも仲間入りすることになった。

最近のヒューゴ・ボスはスーツだけでなく、バッグやアクセサリーといった雑貨類にも経営資源を投入しており「生活様式全般を提案していく」としている。
BOSS Hugo Bossのウオッチは、96年にスイスの時計メーカーへ男性用コレクションのライセンスを供与したのを始め、その後は女性用コレクションも発表した。
最近になってバッグ、財布、キーケース、ネクタイ、香水などの展開も始めている。
日本での展開はヒューゴ・ボス・ジャパンが担当し、93年に旗艦店として東京・青山に本店をオープン。その後は銀座店につづき、03年春には六本木ヒルズ内に大型路面店をオープンさせた。このほかにも国内では、全国主要都市にある三越、高島屋、伊勢丹、大丸など有名百貨店で、68店舗のインショップを展開している。




<< echirashi.com トップページ     << ビジネスコラムバックナンバー