６月７日、札幌市と旭川市の青果市場で、真っ黒な外皮の高級スイカ「でんすけすいか｣の初セリが行われた。両市で合計 55玉が競りにかけられ、旭川市では昨年と同じ１玉最高 53万円で落札された。黒光りする約９�圓離好ぅ�を最高価格で落札したのは、やはり昨年と同じエーコープ旭川だった。仕入れ担当者は「縁起物ですから、高いけどガンバッテ落札した」とのこと。競りの前にあった試食では「甘くて美味しい」と関係者も大満足。
７月頃の出荷ピーク時には、１玉 5000円前後で店頭に並ぶという。農協関係者の話では、今年も例年並みの約９万個の出荷を見込んでいる。
84年に北海道・当麻町の、農協青年部が一村逸品運動として、「でんすけすいか」を導入した。ユニークな命名は、誰もが親しめる名前として、国民が映画やテレビで笑い転げた､今は亡き喜劇俳優の舞台名にあやかった。また、当時は政府の減反政策により、農家は稲作からの転作を余儀なくされていた。代替え作物を模索していた時期でもあり、稲の代わりにスイカを植えて「田を助ける」という「田助」の願いも込められていた。
真っ黒で迫力のある外観だが、果肉は真っ赤で、シャキシャキとした食べ心地と、みずみずしい甘さは、珍しさも相まってギフト用に大人気である。当麻町は北海道上川支庁管内にあり、面積は約205平方�辧⊃邑�約7700人（07年1月現
在）の小さな町である。地理的には上川盆地の東端に位置し、旭川市の東に隣接している｡
町の東部の山地は大雪山系へと続き、石狩川と支流の牛朱別川があり、農業に欠かせない良質な水が豊富に流れている。
1893年に400戸の屯田兵が入植したことから、町の歴史が始まり、1900年に上川郡永山村（現在は旭川市と合併）から分村して当麻村が誕生した。その後、二級町村制、一級町村制を経て、58年に町制が施行され、当麻町となった。
産業は米作が中心で、一等米の比率が高い優良米の産地である。北海道農協米対策本部による米ランキングでは、７年連続１位の評価を得ている。キクの栽培も盛んで、長閑な農村風景が見られる。観光スポットとして、北海道では数少ない鍾乳洞があり、道内からの観光客が訪れる場所でもある。浅草は芸能の中心地であった。明治時代になって浅草は、浅草寺全体が公園に指定されたため、７区に分けて整備された。その時に「浅草六区」になったのが興業街で、のちに７区は削除され、奥山（五区）の見せ物小屋もすべて六区に移された。
明治後期になって、日本初の活動写真が電気館で始まり、徳川夢声が名弁士として人気を博していた。大正時代になり浅草オペラが人気となり、田谷力三や藤原義江がスターになった。昭和になってからも榎本健一（エノケン）や古川緑波（ロッパ）などの喜劇スターが数多く誕生した。
45年に国民から娯楽を奪った永い戦争が終わった。浅草は戦争の窮乏と貧困のなかで、娯楽に飢えていた人々で再び氾濫した。映画「そよ風」で主演の並木路子が歌った「りんごの唄」は国民的な大ヒットとなった。その後は外国映画も解禁になったこともあり、映画のメッカであった浅草に再び活気が戻るようになった。
また、検閲制度の廃止とともに、終戦の開放感も加わりストリップショーが隆盛となった｡
ショーの幕間に演じる寸劇から、佐山俊二、由利徹、南利明、長門勇、南伸介、八波むと志などが人気を集めていった。その後もストリップ小屋のフランス座からは、渥美清、コント55号、ビートたけし等が育ち、テレビや映画で活躍するようになる。
このような時代背景の中で、大宮敏充は 13年に浅草で生まれた。物心がつくようになっ
た頃に、スターだった田谷力三に憧れて芸の世界に入る。26歳の時に大宮登志夫の芸名で一座を結成。実在した経師の木村伝助をヒントにして、デン助を主人公にした「デンとショー」を考案した。メリヤスのシャツ、腹巻き、背広、ハゲ頭をゆらゆら揺らし、大きなギョロ目、口ひげをはやし、草履履きのユニークな格好のデン助は、｢オレにデンと任せておけ」との言葉と共に大流行となった。彼が演じる「デン助」キャラクターは、浅草の喜劇界で一世を風靡するようになる。
出征したが復員すると「デン助劇団」を結成し、浅草・松竹演芸場を拠点にして自ら脚本（筆名は言問三平）､演出、主演（役名は木村デン助）して、浅草演芸界の代表的な存在にまでなり、ファンからは「デン助」「大宮デン助」と呼ばれるようになっていた。
テレビ放映されていた「デン助劇場」は59年から72年まで続き、番組では「デン助人形」がプレゼントされていた。テレビドラマ「デン助のおまわりさん」や、映画「誰よりも金を愛す」などで、日本中を笑いの渦に巻き込む活躍だった。
76年に持病の糖尿病が悪化し、63歳で亡くなった。死後８年も経って「でんすけすいか」が誕生したことになるが、デン助の頭がツルツルなのと、スイカの表面もツルツルなので名付けたとの説もある。天国で自らのキャラクターに満足していたかも知れない。「でんすけすいか」は「タヒチ」という品種名で、縞のある品種よりも生育は旺盛で、着果製に優れているが、果重は６�圓�ら８�圓犯鄲臉�が強い品種のため、内部空洞発生の弱点も持ち合わせている。生産にあたっては、毎年３月下旬から６月中旬までは、月に二回ほど生産者同士の学習会を開催して意見交換しており、生産者が一丸となって技術の探求をしている。生産農家が組織する「当麻町そ菜研究会でんすけ部会」が定める厳しい栽培基準に沿って生産されており、土壌作りや温度・水分管理、病害虫防除などをマニュアル化している。出荷にあたっても内部の空洞・糖度・形状などを、センサーでチェックし基準に満たないものは廃棄処分にしている。こうした厳しい品質管理が、高級ブランドの品質を保証している。89年には「でんすけすいか」の名称が、特許庁に商標登録された。
日本放送協会（ＮＨＫ）と全国農業協同組合連合会、ＪＡ都道府県中央会では、71年から共催で「日本農業賞」を創設し、日本農業の確立を目指し、意欲的に経営や技術改善に取り組み、地域社会の発展に貢献している農業経営者と集団組織を表彰している。
昨年３月の第 35 回日本農業賞・集団組織の部では「当麻町そ菜研究会でんすけ部会」が
大賞を受賞し、名実ともに日本トップブランドの称号を得た。
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