ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 23

☆ 地名ブランド☆

2004.11.09号  

 実りの秋である。北海道の知人がジャガイモを送ってくれた自宅に持ち帰り水洗いをしてラップにくるみレンジでチン。塩を少し振りかけ、バター(箱を見たら雪印だった)を一欠片。さすが秋の味覚、何とも言えない甘みがある。そしてこれが左手に持つグラスと相性が良いのだ。左手のピッチが進み、有り難みが増すにつれ、目を瞑ると北海道グルメの旅が無料で出来る。
流氷が去ったあとの毛ガニ、6月頃の新鮮なアスパラ、旧盆の頃には甘いトウモロコシ、
秋になればカボチャも美味いナ。イクラとウニとホタテの3色丼もイイナ。
函館の朝市にたどり着いた処で我に帰った。函館って烏賊しか獲れないんだった。
函館朝市は北海道各地の特産品を一同に並べて、朝市イコール北海道という演出だ。

 北海道は通販ビジネスでは美味のブランドですしかし北海道に観光に行った人から、ときどき苦情を聞くことがある。クリガニとかアブラガニを買ってしまって土産にしたが美味しくなかった等の類だ。観光客はお店に表示がしてあっても、姿かたちのイメージで買ってしまうから、毛ガニやタラバガニと見間違ってしまう。
アスパラはニセコ産や富良野産が美味しいと聞く。観光客は自分が行った観光地近郊で取れたアスパラしか買わないからニセコ産や富良野産のアスパラは美味しいと言う。アスパラは道北の名寄産や士別産の方がもっと美味しいのだがブランドがない。

 福井県越前港で水揚げされる「越前ガニ」は皇室へ献上する事でも有名です。
今年は11月6日解禁になった。越前海岸で獲れた良質のカニには「越前カニ」というブランドマークのタグが足に着けられている。今年の初セリはオス一輩が1万7千円の最高値がつき、料亭や高級鮮魚店に引き取られて行ったとの事。福井沖の海底土壌と海流がカニの成育に適しているようで、大変美味しいと定評がある。
北海道の「オホーツクの毛ガニ」も同様です。オホーツク海はロシアからの雪解け水が流れ込み、千島列島などに海流が阻まれるため、塩分濃度が低い海域となり海が凍ると云われています。流氷が流れ着く時に氷の塊が腐敗した海底の地層を削り取り、翌年の春に新しい地層から藻などが発生する。この生態系が毛ガニや「バフンウニ」の成育に好循環を生んでいる。雄武産の毛ガニにも産地証明のタグがついている。
大分県北海部郡佐賀関町の沖で獲れる「関サバ、関アジ」は、漁業組合が漁師である組合員から買い取り、組合が中心となって販売や出荷を管理している。組合では登録商標のマークつきシールで原産地証明をして品質を保証している。豊伊海峡を隔てた四国佐田岬半島とは13キロメートルしか離れておらず、漁場も同じであるが関サバ、関アジとして販売する事は出来ない。
北海道の夏の味覚の代名詞である「夕張メロン」は、廃坑の街と農家の生き残りを賭けた歴史であった。昭和35年農業改良普及員達と17戸の農家が立ち上がった。かずかずの苦難のすえに、甘さを出すための温度管理と、出荷時期の品質管理を徹底する事で産地直送の先駆けとなり、北海道を代表するブランドに育った。品種名「夕張キングメロン」は各地で生産する事は出来るが、夕張メロンは夕張市農協の商標なので、夕張農協の組合員でなければ、夕張メロンとして出荷する事は出来ない。
新潟県の「魚沼産コシヒカリ」で炊いたご飯は最高においしく大変人気があります。
魚沼群でとれたコシヒカリは人気の無い米とブレンドされて売られる事もあり、収穫量より市中で売られている量の方が多いとか。先日の新潟県中越地震は産地である小千谷市や川口町を直撃した為、地割れや水路の損傷で水田が液化して、来年の作付けが危機にあると云われています。秋田県の「秋田こまち」も台風の被害を受けたようで、全国有数のブランド米が危機に陥ってしまったのは残念です。
三重県の「松坂牛」とは松坂牛固体識別管理システムの対象地域で肥育された、未経産の黒毛和種の雌牛です。このシステムは三重県知事や松坂市長が中心となって設立された、三重県松坂食肉公社が主体となって運営している。典型的な松坂牛は生後7〜8ヶ月の子牛を兵庫県但馬地方から導入して肥育しています。食欲増進の為にビールなどを与える飼育管理によって優れた品質を持ち肉の芸術品として多くのグルメファンを喜ばせています

 全国各地の特産物をほかでは真似る事の出来ない自然環境で成育したり、漁協や農協が品種改良や品質管理を指導する事で、地方の名を冠したブランドに育っていった。
前述したほかにも、山口県の下関唐戸魚市場仲卸協同組合が扱う「下関のふぐ」、広島県廿日市の「地御前の牡蠣」、福井県若狭湾で獲れるアカアマダイである「若狭のぐじ」岩手県の「前沢牛」青森県大間町の「一本釣りホンマグロ」北海道の「利尻昆布、日高昆布」など全国各地に地名のついたブランド特産品があります。
庶民の願いとしては時間とお金に余裕ができたら本当のグルメ旅行をしてみたいですね




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