ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 38

☆ 加速するトヨタ☆

2005.02.22号  

 トヨタ自動車の事業展開が加速している。1月11日発表された2004年の国内車種別販売台数のベスト10には2年連続首位のカローラを始め 6車種がランクイン。クラウンは前年比107.9%増で5位につけた。21日に発表された世界販売台数でも、首位GMの899万台に次いで747万台に達する見込みで2年連続2位になることが確実となった。05年には世界販売台数850万台とGMに肉薄する計画だ。
2月3日トヨタ自動車が発表した 4月から12月の売上高は前期比 8.4%増の 13兆6697億円。営業利益は 10.2%増の1兆2891億円。税引後利益は 8.6%増の8805億円と増収増益となった。
05年3月期の通期では前期比 3%増の1兆2000億円前後の税引後利益を確保し、2年連続で
1兆円を上回り、3年連続の過去最高益になる見通しだ。
生産体制も系列機械メーカーの豊田工機とステアリングで世界2位メーカーである光洋精工が06年4月に合併すると発表。トヨタ自動車が世界規模で生産効率の向上を目指し、資金や技術などの経営資源を集約している。1月末にはタイで新工場を建設し、世界戦略車増産に500億円を投資する計画を発表。2月始めには北米で5番目となるメキシコ工場の開所式を行った。GM傘下の富士重工業が北米市場で展開するハイブリッド車に向けて技術供与する事も発表。日産自動車へのハイブリッド技術供与に続き資本系列を越えた事業戦略も加速している。


 トヨタ車の性能や品質を支えている企業にデンソーがある。5百社を越えるトヨタ自動車グループ企業の1社であるデンソーは売上高2兆5624億円、税引後利益1100億円を稼ぎ出す優良企業である。完成車1台には約3万点の部品が使用されており、それぞれの部品の完成度が車の安全性や快適性を支えている。デンソーが生産する部品のひとつに燃料噴射装置がある。燃料を噴射するには、噴射する穴が小さいほど燃料の霧粒が小さくなって燃焼効率が良いとされる。工作機械で加工出来る精度は3/1000个限界だと云われる。デンソーには指先の感覚で1/1000个硫湛を実現できる技能者が大勢いるという。中学を卒業して社内の工業高校課程を学ぶ多くの社員の中から国内や世界の技能五輪で金メダルを獲得する社員も数多くいる。製造業においては技術者の考えるモノをカタチに実現出来る優秀な技能者が必要である。技術と技能の融合がデンソーのモノ造りを支えており、トヨタ車の安全性と快適性、そしてトヨタ車のブランドを陰で支え続けている。日本の製造業が目指すべき方向性をトヨタグループが示している。

 1933年に豊田佐吉が設立した豊田自動織機製作所の一角で、長男の喜一郎が自動車の研究を始めたのがトヨタ自動車のスタートだった。初代社長は佐吉の娘婿の利三郎が就任し、喜一郎は2代目社長に就任したが、50年の経営危機の責任をとって辞任。その後、一族外の石田退三、中川不器男に引き継がれ、67年喜一郎の従兄弟にあたる英二が就任した。82年に戦後分社されていたトヨタ自動車販売との製販合併がおこなわれ、初代社長に豊田家直系の章一郎が就任した。章一郎退任後は実弟の達郎が就任したが病気が元で退任。その後奥田ひろし現会長、張富士夫現社長と就任した。2月9日次期社長に渡辺捷昭副社長の昇任を発表した。3代続けて一族外からの社長就任である。同時に直系の章一郎の長男である章男専務の副社長昇格も発表された。
奥田会長は「豊田家はトヨタグループの旗」と語っており、豊田家への大政奉還も道筋がついてきた。
奥田会長と張社長のコンビで飛躍的成長を遂げてきたトヨタ自動車は、渡辺新社長を始めとする若返った新経営陣の発足で、世界最大の自動車メーカーGMをターゲットに加速する体制ができあがった。

 トヨタ自動車は好調な業績を背景に様々な社会貢献に目を向けている。地球環境のついても、前述したように競合メーカーにもハイブリッド技術を供給したり、全世界の工場ではCO2の削減、廃棄物ゼロへの挑戦、オーストラリアでは植林事業にも取り組んでいる。トヨタ・エコプラスティックに代表されるバイオ・緑化事業などの環境改善事業に取り組んでおり、環境技術開発、環境教育、生物多様性保全分野などへの活動支援にも力を入れている。05年1月より「自動車リサイクル法」が施工された。国内では年間約400万台が廃車されており、引き取り、解体、破砕事業などを通じたリサイクル・システムの構築にも貢献している。
 産業界のリーダーとして今春闘ではトヨタ自動車は早々にベアゼロを発表しており、連合が中小企業に対して「大手との賃金格差是正」求めたのに対しても「格差が広がっているとは思わない」「中国や韓国と競争しなければ成らないので、個別企業の労使で判断すべきこと」との考えを強調した。2月15日には60才定年を迎えた社員を原則再雇用する制度を06年度にも導入する事を発表した。国内社員6万4千人を越す製造業最大手が実施すれば、少子高齢化社会の雇用形態に大きな流れをつくることになる。
 2月17日には国内3番目の国際ハブ空港の中部国際空港が開港した。国際線と国内線が同じターミナルを利用できる24時間運用で年間1200万人の利用を目指す。トヨタ自動車では平野幸久氏を中部国際空港社の社長に送り込み、民間が5割以上を出資する株式会社が事業主体になる。民間のコスト意識が随所で発揮され、建設コストも当初予定の総事業費7680億円から1249億円もの縮減を達成した。
 奥田会長は経団連の会長としても財界活動の場を積極的に広げており、あと一年の任期を全うする事も発表している。トヨタ自動車の人事では張現社長の副会長就任がすでに発表されており、経団連の人事でも張現社長の副会長就任が固まったとの報道もある。経団連会長も二代続けてトヨタ自動車出身者となるかも知れない。
 日本経済新聞社と日経産業消費者研究所が実施した「第17回日経企業イメージ調査」によるとビジネスマンが考える「将来性を感じさせる」企業の一位にトヨタ自動車が選ばれた。好調な業績に加え、製品開発力や社会変化への適応力に対する評価が高かった。
一般個人からの評価でも一位となり、世界市場での存在感を高めている企業としての認識が広がってきたようだ。
日本の経済界や環境問題などのエンジン役を担っているトヨタ自動車は日本発の世界最強ブランドへと邁進している。




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