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桃太郎のビジネスコラム 95

☆ 世界が認めるベッド☆

2006.04.11号  


 人々は生涯の三分の一を睡眠時間に費やしている。快適な睡眠は脳の活性化につながり、充実した仕事をするためや、日常生活の質的向上には欠かせない活動である。
創業以来 130余年にわたり人々に最上の眠りを提供するために、長い歴史の中で培われた技術を継承し、さらに磨きを掛け続けている会社がある。アメリカ人の6人に一人が使用しており、世界91ヶ国で販売されて「世界のベッド」と称されている「シモンズのベッド」である。
創業者のザルモン・シモンズは酪農事業で使う木製チーズボックスが大きくて、不便に感じていた事から自ら家具製造会社を設立した。1870年にアメリカ・ウィスコンシン州ケノーシャのミシガン湖ほとりにある町で、9人の技術者達と木製絶縁体とチーズ木箱の生産を始めた。76年に事業を変更してスプリングを用いたマットレスの大量生産に成功した。
当時のアメリカでは木枠に細長い板を渡したベッドが主流だったため、このマットレスがベッドの常識を変えたと云われている。89年にはマットレスに螺旋状のスプリングが導入され革新的な製造工程により、それまでの12ドルから95セントで売る大幅値下げに成功。
1925年にはシモンズの代名詞とも云われる「ポケットコイル・マットレス」を開発した。
マットレス内部にたくさんのバネが一つ一つ布でくるまれて接着されており、隣のバネに振動が伝わりにくく、ボーリングの球をマットレスに落としても、横にあるピンは倒れない。このように人が寝たときにも面でなく点で支えるので快適な睡眠がとれるという。
シモンズベッドのファンになったルーズベルト大統領のエレナ夫人が宣伝に力を貸し、27
年から30年までは自身のラジオ番組でもシモンズ製品を宣伝した。 29年にはヘンリー・フォードやトーマス・エジソン、バーナード・ショウなどの著名人達が無報酬で書いた推薦状を広告に掲載した。これによりシモンズベッドはマイナーからメジャー・レーベルへとなっていった。

 シモンズ独自のテクノロジーが生み出す理想的なベッドは、マットレスに組み込まれたスプリングの素材、硬さ、ポケットコイルの袋、コイルの配列、コイルの数など、マットレスを形成する要素の一つ一つに駆使された独自の技術によるところが大きい。
ベッドの機能性と耐久性を生み出すスプリング・コイルは理想的な寝心地を生む弾性を実現している。理想を追い求める技術者達の長年の努力によりいくつもの特許が開発された。
シモンズには新素材が創り出す新しいベッドアクセサリー商品がある。リラクゼーション効果をはじめ優れた作用で体をやさしく包むマイナスイオンシリーズ「シモンズファイバー」である。トルマリンと天然鉱石の混合粉体である特殊セラミック鉱石を糸に練り込み、織り上げた繊維素材も特許を取得している。トルマリン単体ではマイナスイオンを発生しないが、複数の天然鉱石からなる刺激剤で活性化すると、静置状態でも常時マイナスイオンを発生する。この手法は、高電圧や放射線を使わないため、有害な物質を発生させることはない。「シモンズファイバー」はマイナスイオンによる消臭効果も得られるほか、遠赤外線効果による血液循環の増進、新陳代謝・自然治癒力の向上や血中酸素濃度の増加が得られる。さらにトルマリンの極反転作用により、花粉やホルムアルデヒドなどの刺激・有害物質を分解し、人体に付着するのを防ぐため、スギ花粉症やタバコの煙などの付着防止や分解などに優れたはたらきがあり、快適な眠りへと誘っている。

 旅にまつわるWebサイトを見ていると、シモンズベッドをセールス・ポイントにしているホテルが数多くある。世界の高級ホテルはゲストに心からのくつろぎを提供するために、業界のプロフェショナル達が厳しい目で選んでいるのがシモンズベッドである。
旅で疲れた体をシモンズベッドで一晩休ませると、朝にはすっきりとリフレッシュできる。シモンズベッドは極上の眠りを生み出す機能性と耐久性に優れたラインナップを提供し、世界のラグジュアリーホテルのニーズに応えている。その寝心地の良さは「このベッドを持って帰りたい」というゲストからのメッセージがホテルに届けられることもあるそうだ。
そのようなゲストの一人にサッカー界の貴公子デビッド・ベッカムがいる。ベッカムが淡路島にあるウエスティンホテル淡路に宿泊した際に、ホテルが特注で設置したベッドがお気に入りとなり、イギリスに持ち帰ったというエピソードである。これを聞いたベッカムのファン達が、ベッカム仕様のシモンズベッドとして憧れのベッドとなっているそうだ。

 日本市場には64年に法人を設立して進出し、87年には資本的にもシモンズ・アメリカから独立した。シモンズは安眠の仕組み解明にも積極的に取り組んでおり、31年にはハリー・M・ジョンソン博士に委託した研究から、人は8時間の睡眠中に 平均35回の寝返りをうつことを実験で解明した。最近においても「眠りの科学」を追求する睡眠医学の第一人者で心理学博士のジェームズ・B・トーマス コーネル大学教授の指導を受け、国内外から最先端の睡眠科学を取り入れている。ベッドを単なるモノづくりではなく、人間を科学する事から始まり、動物の一種としての習性や心理学にまで及ぶ研究開発が行われている。長年にわたり著名な科学者との共同研究など、シモンズのこのような取り組みの成果が、世界の高級ホテルが挙ってシモンズのベッドを取り入れている事の証となっている。
日本国内においても帝国ホテルをはじめ、横浜の老舗ホテルニューグランドや全日空系、日航系、ホテルモントレー系、ウィスティンホテル系や外資のインターコンチネンタル系など名だたる高級ホテルに納入されている。
東京・銀座や日比谷、大阪・本町にはギャラリーを設置し、ファンはいつでも快適な眠りを体験できるようになっている。日本法人はベッド市場が低迷している中において近年はリビング用家具の輸入販売を強化している。シモンズベッドはそのような市場動向のなかでも
05年には100億円以上売り上げるなど大健闘している。




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