ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 189

☆ ニットの女王☆

2008.02.19号  

 ソニア・リキエルは1930年5月にパリで生まれた。「ニットの女王」と呼ばれ、「現代のココ・シャネル」(既号136.試作品番号No5)との異名もとるプレタポルテ・デザイナーで、自らの名を冠したファッション・ブランド名でもある。ポーランドとユダヤ系の血を引いている彼女は、20歳で結婚し専業主婦となった。32歳の時に自分の気に入るマタニティ・ドレスが、市販されていないので、自らデザインをしたのが、デザイナーになるきっかけであった。彼女はデザイナーになるための勉強をしたわけではないが、斬新な感覚は女性達の間で評判を呼ぶようになった。彼女は夫が経営するブティック「ローラ」に、自らデザインした服を置くようになった。ニットを中心に自分が着たい衣服のデザインをする、いわば趣味の領域であったが、これが更に人気を呼ぶようになった。マタニティや、これまで普段着でしかなかったニットのセーターやカーディガンなどを、ファッショナブルで洗練されたオシャレ着に生まれ変わらせた。68年にパリのグルネル通りにあるギャルリ・ラファイエット百貨店に第一号となるブティックをオープン。翌年にはパリの左岸に店舗を持つようになってから、急成長するようになり、アメリカや日本などの海外都市に支店を開設するようになった。

 ソニア・リキエルのファッション界における功績は、前述のように女性が家庭着・普段着としていたものを、スマートでモダンなオシャレ着に高めたことにある。自分が着たい服をデザインするという自由な発想が、「デ・モード(脱流行)」という彼女なりの、美の世界を構築していくことになる。彼女のデザインするニットは、女性の身体をピッタリと包み込み、女性らしく華奢でか弱いイメージを強調するものが多い。反面、女性の妖艶さを演出するネックライン、女性らしさを誇張するバストライン、女性の官能的な美しさを強調するウエストから腰にかけたボディラインなど、既成概念にとらわれないデザインは、他のブランドの追随を許さないファッションとなった。ブランド展開は、婦人服のファースト・ライン「ソニア・リキエル」、婦人服のカシュアル・ライン「ソニア・ソニア・リキエル」、子供服の「ソニア・リキエル・アンファン」、化粧品の「ソニア・リキエル・コスメティツクス」(87年の化粧品ライン発表の時には「ソニア・リキエル ナイト&ディ」という呼称)、紳士服の「リキエル・オム」がある。現在はコスメや香水などが取り上げられることが多く、ファッション衣料以上にソニア・リキエルの代名詞になっている。隠れた逸品として大変な人気を呼んでいるのが、意外な感じだが日傘や雨傘である。ネットの売上ランキングなどでは、常に上位に位置する。ソニア・リキエルは83年に、フランス文化省から芸術文化勲章を授与された。娘のナタリーもアート・ディレクターとしてビジネスに参加している。

 ソニア・リキエルの日本における販売ライセンスは、これまで西武百貨店の子会社であるエルビスであったが、2003年1月にオンワード樫山が販売ライセンスを取得した。日本でのライセンス窓口はソニア・リキエル・ジャポン。03年はオンワード樫山がラグジュワリー・ブランド・ビジネスに、本格的に参入した年である。オンワード樫山グループとしては、既に米国の有名ブランドである「ポロ・ラルフローレン」「ダナ・キャラン」「カルバン・クライン」の販売ライセンスを取得していた。この年は米国3ブランドに加え、エルビスからはソニア・リキエルだけでなく、「ミッソーニ」「ジャンフランコ・フェレ」(既号156.伊ファッション界の重鎮逝く)の3ブランドを取得。従来からの「マイケル・コース」や、同年秋から販売開始されたイタリアの「ジボ」のライセンスも取得しており、オンワード樫山はブランド・ビジネスを加速している。因みに、ソニア・リキエル・アンファンの日本での製造は、フーセンウサギが行っており、ソニア・リキエル・コスメティツクスでは日本の化粧品会社アネビオンと提携している。

 オンワード樫山は一昨年5月、渋谷区・代官山にソニア・リキエルの新コンセプト・ショップ「リキエル・ウーマン」をオープンした。八幡通り沿いにある「オンワード代官山ファッションビル」内にある。この建物は1986年に建築家鈴木エドワードの設計により建てられ、異なる質感や波打ったモチーフを取り入れた外観の特徴が人目を引いている。リキエル・ウーマンは同年1月まであった「ジャンポール・ゴルチェ」のブティック跡に入居。店舗のデザインはソニア・リキエルの娘であるナタリー・リキエルが、コンセプト段階からディレクションした世界初のブティックである。彼女は1977年よりソニア・リキエル社でキャリアをスタートさせ、数々の新ラインを発表し続けてきたアート・ディレクターである。店舗デザインは「シックな宝石箱」をイメージしていると云い、オフブラックを基調に、キーカラーのピンクを差した色遣いが特徴となっている。店舗面積は地下一階と地上一階を合わせて、90屬旅さとなっている。取扱商品はソニア・リキエルの大胆でユーモアな世界観を表現するブランドとして2002年にデビューした「リキエル・ウーマン」ライン、それと日本初の取扱となったスポーツラインの「リキエル・カルマ ボティ&ソウル」の、各商品が店舗の主力ラインとなっている。また、ナタリーが同店舗のために厳選したソニア・リキエルの商品や、「ソニア・リキエル ランジェリー」も取り扱っている。


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