ブランドに学ぶ 儲けを生みだすビジネス・コラム

桃太郎のビジネスコラム 260

☆ 爆安を買って自由に着る☆

2009.07.08号  

 低価格衣料品店「ジーユー」(g.u.)は「ケタ違いを着る」のキャッチフレーズ通り、1000円を切る3ケタの価格帯が中心となっている。割安価格と機能性商品で絶好調を続けるユニクロよりも、さらに割安の衣料品が売られている。西友では販売不振を低価格路線でテコ入れを進め、カジュアル衣料部門は1470円ジーンズを販売し売上を伸ばしていた。しかし、ジーユーは3月に「ケタ違いをはく」のキャッチフレーズで、990円ジーンズを発売し、消費者だけでなく業界を驚愕させた。
ユニクロ(既号161.世界ブランド「ユニクロ」)のジーンズは国内産生地を、中国工場で縫製しているが、ジーユーでは大量生産された中国製生地を使い、人件費の安いカンボジアで縫製。生地の種類も絞り込んで製造原価を抑えている。ユニクロを展開する親会社のファーストリテイリングが、積み上げてきた生産ノウハウが凝縮された成果である。話題を呼んだだけあって店頭においても、一番目立つ場所に並んでいる。素人目には1万円を超えるような高級ジーンズと、比べてみても遜色ない仕上がりだ。リーバイスの501(既号223.若者達のジーンズ )のような仕上がりには及ばないにしても、自宅や近所に出掛ける時のデイリーユースで、ラフに穿きこなすには充分である。メンズは自然な色落ち感のあるワンウォッシュタイプが、レギュラーストレート、スリムストレート、イージーストレートの3モデルが用意されている。昨今の節約志向には、990円という価格は消費者に取っては大歓迎である。販売は発売当初に計画した2倍の勢いで、年間100万本のペースで売れ続けている。

 ジーユーでは「まあまあの品質で、安い物がいいという消費者」に向けて、最低価格で提供する戦略をとっている。店内では1000円を超える4ケタの、商品を探すのが難しいほどである。チノパンツの1290円が最も高い価格帯だが、タック数や色なども揃っており、サイズはXXL(92僉砲泙任△襪里如∨悗匹梁侶燭凌佑穿ける。黒っぽいダークカラーもあり、カジュアルっぽい服装が許される会社なら、仕事にも穿けそうだ。普段穿きとしても1290円なら、数本買って使い廻すのも良いだろう。ウェアーだけでなく、靴やベルトも並べられている。蓄積された靴販売のノウハウも持っており、メンズはレディースよりも選択幅は少ないが、1足1000円台の靴があるのも、若者にとっては嬉しい限りで、誰もが価格に対する提案力に驚かされる。
ファーストリテイリングでは6月に、ジーユーで取り扱っている約500種類の、夏物アイテムの半分に相当する商品を、990円以下にすると発表。店内ではポロシャツや、リュックタイプのバックパックまで、990円で売られている。Tシャツのプリント柄は990円だが、無地やシンプルな柄は半額の490で買える。男物のシャツはユニクロほど種類が、多くないが柄物のカジュアルシャツや、ビジネスにも着られる白の半袖ボタンダウンシャツがともに990円。巷ではスポーツブランドのフィットネスウェアは、結構な価格帯の物が多く売られているが、スウェットハーフパンツや、スポーツポロシャツも990円。下着類ではメンズのトランクスが2枚組みで990円。靴下も6足組みで990円と、1足あたりにすると165円の価格だ。レディースではカップ付きキャミソールや、タンクトップが790円。無地のキャミソールは、290円の商品まで売られている。ように爆安価格が並べられており、複数枚買って自由に着回しするには、惜しくない価格で、品質的にもデイリーユースには充分なのが人気を呼んでいる。

 GOVリテイリングはファーストリテイリングの100%子会社である。本社を東京都・千代田区に置き、衣料品や靴などを扱っている。ファーストリテイリングの靴専門チェーンとジーユーブランドの衣料品チェーンを統合し、2008年に再編された企業である。
1950年創業の「靴のマルトミ」が個人商店として創業。その後は株式会社に組織変更して成長を続け、1990年には名古屋証券取引所第2部に株式上場したが、2000年12月に民事再生法の適用を申請。2002年に「ワンゾーン」に社名変更。2005年にファーストリテイリングが、再建中のワンゾーンの全株式を、三菱商事などから取得して完全子会社化した。「ビューティカンパニー」は1961年に松村洋佑が靴の小売店を創業。1972年にチェーン展開を目的にスズラン商事を設立。2002年にはビューティカンパニーに社名変更し、2006年にはジャスダック証券取引所に株式公開。その後ファーストリテイリングが資本業務提携、第3者割当て増資引き受け、株式公開買い付け等を通じて2008年に連結子会社化。同年に株式上場を廃止して、ファーストリテイリングの完全子会社とする。「ジーユー」は2006年3月、ファーストリテイリングの完全子会社として設立された。2008年9月、ジーユーとビューティカンパニーの事業を、ワンゾーンに譲渡して事業を統合。その後ワンゾーンを「GOVリテイリング」に社名変更した。
日本のアパレルファッション業界は、世界でも屈指の激戦区である。海外からはスェーデンのH&M(既号217.ファスト・ファッションの雄)、スペインのZARA(既号255.ファッションは鮮度が命)、イギリスのTOPSHOP、アメリカのGAP(既号243.世界一のカジュアルブランド)やフォーエバー21(既号251.激戦区に殴り込み)、イタリアのベネトン(既号202.庶民的価格で最高品質)など、続々と上陸している。迎え撃つユニクロとジーユー連合が、どのような戦いをするか、世界のアパレル業界が注目している。

 ジーユーの店舗は2006年10月、千葉県・市川市のダイエー南行徳店2Fに一号店をオープン。現在は全国で70店舗を超えているが、ユニクロと比べるとまだまだ少ない。東京都内ではダイエー立川店、ダイエー赤羽北本通店、ダイエー東大島店、西葛西店、京王八王子店、足立平野店、本町田店、荒川南千住店の8店舗を展開している。西葛西店もダイエー退店後のスペースに入っている。ダイエーは不振店舗の業績テコ入れのため、テナント誘致していたが、最近はダイエーとは関係のない場所にも、出店を加速させている。商品の価格帯は、かつてはユニクロの約三分の二程度が多かったが、最近は二分の一か、それ以下に設定されているものも多い。ユニクロ快進撃の原動力になっている機能性ウェアーは、あまり見かけないようだ。デザインもあまり面白味がないベーシック志向だが、逆に癖のない服はヘビーローテーションのユーザーには、コーディネートし易く、着回しを楽しむことができる。因って、リーズナブルな価格は消費者にとって、ついつい複数枚買いの衝動を与える。なんと云っても、消費者にとって3ケタのプライスは魅力だ。
ジーユーでは店舗数が少ないため、近所に店舗がない消費者向けに、ウェッブサイト上にデジタルチラシを掲載している。先週の目玉は半袖のフライスクルーネックTシャツが、390円だった。出掛ける前にチラシ(PDF形式)をチェックするのも一計かも。


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